除染土と使用済核燃料

除染土・使用済核燃料の最終処分を国民全体の議論に

 毎度毎度、投稿の間隔が長く申し訳ない限りです。

 今年の3月11日読売新聞に、「除染土進まぬ理解 46知事以降調査」という記事があった。お読みになった方も多いと思いますが、「東京電力福島第一原発事故で発生した除染土は法律で2045年3月までに県外で処分すると定められているが、全国知事に行った意向調査では、最終処分の受入処分を「条件次第で検討する」と回答したのは5県(秋田県、千葉県、兵庫県、奈良県、宮崎県)にとどまったとある。「無回答」が36都道府県、5県が「意向はない」と答えた。」という論説である。

 また、再利用について、1407万立法㍍ある除染土の4分の3は、放射性セシウム濃度が1㌕あたり8000ベクレル以下で、作業員の健康に問題ないとされる基準で、環境省は最終処分量を減らすため全国の公共工事に再利用したいとするが、再利用受入れの意向を聞いたところ、「容認できない」が山形、山梨、鹿児島、沖縄の4県、28府県が「どちらともいえない」、14都道府県は無回答というものであった。

 中間貯蔵施設を抱える双葉町の伊沢史朗町長は「のど元過ぎれば熱さ忘れるで、自分の所の問題でなければ迷惑施設は要らないということだ」また、福島第一原発で作られた電力が供給されてきた首都圏に対して「福島で作った電力が首都圏で使われていたことを、今では忘れられたような気がする」と語った。また、伊沢町長は、「町内の造成工事などで再利用の可能性がある」と述べ、その後の取材に、「再利用は少しでも皆で負担を軽減しようという話で」と理解を求めたとのことである。このような状況に国はどのように考えているのだろうか。

 この記事の中で、沖縄県の玉木知事は「電力供給されている受益者間で解決する問題」と説明。沖縄県には原子力発電所が無いため言える事かも知れないが、この件については、国も地域と一体となって解決に向けて努力することが必要なのは言うまでもないとは思うが、玉木知事の言われる事ももっともだと、私も考えるところである。

 これと同様な状況にあるのが、使用済核燃料の最終処分場問題ではないだろうか。これもまた、電力供給されている受益者間で解決する問題であろう。そして、これは原子力発電に反対であろうがなかろうが、もうすでに使用済核燃料が存在している。東京電力の使用済核燃料は東京電力管内で、東北電力の使用済核燃料は東北電力管内で、まずは解決するべく考えることが重要ではないだろうか。他の電力事業者管内においても同じである。そしてまた、国が前面に立って進めていく姿勢を国民に示す事が重要ではないか。

 しかし、現在、文献調査に北海道寿都町、神恵内村で実施され、佐賀県玄海町も調査受け入れを表明したくらいのところだ。

 原子力発電によって電力供給されている受益地域の皆さんはどのように考えるのであろうか。国が責任を持つことは当然としても、それぞれの地域、それぞれの都道府県は我関せずでは、あまりにも無責任である。本来は受益者一人ひとりがどう考えるのか、電気を利用した人がその使用量に応じて生じた使用済み燃料の処分を考えることが必要ではないだろうか。電力という利益だけは享受して、そこから発生するごみについては知りませんとはならない。そこで現実的な考えとして、原子力発電で電力供給を受けてきた地域、少なくとも都道府県単位で使用電力量に応じた使用済核燃料の量を算定し、その処分についてはその都道府県で責任を分担する。各々の地域、都道府県で使用した分の使用済核燃料の最終処分を考えることを大前提に、もし自らの地域で最終処分をすることが叶わないのならば、他所の地域にその最終処分という負担をお願いすることから考える事が重要ではないか。そうすることで、最終処分場を受け入れてくれた地域への感謝と受け入れた地域の矜持が生まれる。そうしなければ残念ながら、全ての皆さんが自分事として、国策として進められてきた原子力発電の始末が出来ない。

「私達には関係ないことだ」では済まされない時が来ている。